朝ドラ カーネーション 夫 は「コシノ洋装店ものがたり」から
朝ドラ「カーネーション」に登場する小原勝(川本勝)(駿河太郎)は、ヒロイン・小原糸子の夫のことで、実在した小篠綾子の夫・小篠武一(たけいち)がモデルになっていると考えられます。
カーネーションの勝は小原家に婿入りして結婚
朝ドラ「カーネーション」では紳士服職人・川本勝が川本家の長男であったにも関わらず、川本家の家督と相続権を弟の川本亘に譲って、小原家に婿入りして糸子と結婚するという話の流れです。
この勝の婿入り話は実話に即した話で、モデルとなった紳士服職人の川崎武一も川崎家の長男として裁判所の裁判官の前で廃嫡を補法的に認定された上で、小篠家に婿入りして小篠綾子と結婚しています。
小原糸子のモデル 小篠綾子
川崎武一が裁判官の前で小篠家の婿入りを法的に認められた時の様子
小篠綾子の自叙伝「コシノ洋装店ものがたり」では、川崎武一と小篠綾子が法的に認められる場面をこのように伝えています。
裁判長は落ち着いた声で私たちの名前を読み上げ、私たちはそれにただうなずきました。そして、最後に「二人は以前より関係があり、廃嫡して結婚したいと願っているが相違ないか」という言葉が投げかけられました。
「エッ、…二人の関係てなに?」
と思った途端、父が力強く「相違ございません」と、返事をしたのです。私は「違います」と心の中で叫びましたが、声にならずもじもじしていると、その隣にいた川崎さんとやらが、声は小さかったけれどハッキリした口調で、「間違いありません」と言ったのです。コシノ洋装店ものがたり 98ページより
こうして小篠綾子と武一が結婚したのは1935(昭和10)年11月23日で、綾子22才・武一23才のときでした。
カーネーション 糸子 旦那は浮気をしていたのか
朝ドラ「カーネーション」では糸子と勝が結婚したあと、三人の女の子(優子・直子・聡子)をもうけますが、やがて勝に役所の兵事係から赤紙(召集令状)が届きます。1942(昭和17)年12月1日のことです。
出征するために勝が連隊の駐屯地に旅立った後の小原家では事件が起こります。私物として小原家に送り返した背広のポケットの中からなんと勝が見知らぬ女性と仲良さげにツーショットで写っているではありませんか。「カーネーション 糸子の旦那」は浮気をしていたのです。
カーネーション 勝の浮気相手は「わか竹」の菊乃
勝と一緒に写真に写っている女性は「わか竹」の菊乃という芸妓です。浮気した本人がいないのに名前と身元がすぐわかったのは、父・善作が紹介をしていたからです。
しかも浮気についても「あんなもん大したことない。これから行く戦争の方が大変」と、善作は勝を責める様子もありません。
小原善作のモデル 小篠甚作
小篠武一も浮気していた
実はこの「勝の浮気エピソード」は「コシノ洋装店ものがたり」から取られていると考えられます。実在した小篠武井一も、1943(昭和18)年12月に出征したあとに、芸者と浮気していたことが写真を見てバレます。しかも武一が浮気をしていたことは、小篠綾子の父・甚作も知っていました。
写真には男女二人が仲むつまじく並んで写っていました。男の方は夫でしたが、女性は私ではありません。
「あ、この人、歌舞伎座へ行った時に出会った芸者さんや」
と私が言うと、父は観念したのか、
「そうか、お前逢うた事あるんか。その女子は芸者や」
「お父ちゃんも、知ってるの」
「よう知ってる。紹介したんはわしやさかいな」
「ほな、ひょっとして、この人、武一さんの…」
「そうや。あいつの浮気相手や」コシノ洋装店ものがたり 149ページより