カーネーション 周防さんのモデル
朝ドラ「カーネーション」の周防龍一(綾野剛)のモデルは、実在の紳士服職人・「Tさん」と呼ばれる人物であると考えられます。
この「Tさん」という人物は朝ドラ「カーネーション」の元ネタである「コシノ洋装店ものがたり」の「第五章 恋という名のあだ花」に登場する人物で、小篠綾子は20年間、この人物と籍を入れずにお付き合いをされたそうです。
もちろん「T」というのは仮名で、「コシノ洋装店ものがたり」ではその本名は明かされていません。
糸子 周防に告白 カーネーション 第91回「揺れる心」
朝ドラ カーネーション では糸子が先に周防に告白
千代(麻生祐未)に「毒気を抜かれて」以来、北村(ほっしゃん。)は素直になってしまった。開店が近づき、残業しようとする糸子(尾野真千子)だが周防(綾野剛)に勧められて組合の月会合に出る。戦争で焼かれたものは戻らない、時代を切り開けと語る三浦(近藤正臣)。北村、周防、それぞれが抱えているものに思いをはせる糸子。帰り道に周防への切ない思いをかみ締める。開店の朝、美しい洋服姿の糸子はある決意を固めていた。
戦後、小原糸子がデザイナー、北村達雄(ほっしゃん。)が販売、周防龍一が製造を行なって婦人用の高級既製服(プレタポルテ)を売り出そうとしたとき、糸子は周防に告白をします。
「コシノ洋装店ものがたり」 Tさんが小篠綾子に告白
朝ドラ「カーネーション」では糸子が周防に対して先に告白することになりますが、「コシノ洋装店ものがたり」では、「Tさん」が小篠綾子に対して、先に告白したことになっています。
最初は仕事仲間としか考えていませんでしたが、仕事を一緒にしている間に、いつのまにかTさんに、何か惹きつけられるものを感じるようになりました。
(中略)
そんな私に、Tさんから思いもよらない言葉が投げかけられました。
「僕、君が好きなんや…」
私は驚きと、戸惑いと、突然の「好き」という言葉にドギマギして、まるで身体中の血が逆流するような衝撃を受けました。コシノ洋装店ものがたり 179ページ
カーネーション 周防さん 奥さん
原爆の後遺症に悩む周防の奥さん
朝ドラ「カーネーション」の周防龍一は大阪に働きに出てきたという設定で、故郷の長崎に奥さんと子どもたちを残しています。
糸子と周防は互いに告白し付き合うことになりますが、周防は長崎に投下された原子爆弾の後遺症に悩む奥さんを捨てる気はさらさらありません。
「コシノ洋装店ものがたり」 家も妻子も捨てた「Tさん」
ただ実在の「Tさん」は小篠綾子にぞっこんとなってしまったため、家も妻子も全部捨ててしまったようです。
Tさんは、私と一緒にいたいからと、家も妻も子もすべて捨ててきたのでした。私が避け始めてから、Tさんも同様に悩み苦しんでいたのです。そしてとうとう、どうすることも出来ずにここへ来たというのでした。
私はTさんの思いを知り、二人して行き先も判らない恋の列車に乗ることにしたのです。コシノ洋装店ものがたり 183~184ページより
ただ小篠綾子は、奥さんがいて子どもがいる「Tさん」に対して、遠慮があり付き合って20年間で「Tさん」との結婚を考えたことはなかったとのことです。
カーネーション 周防さん その後
朝ドラ カーネーション 周防の最期について
その後周防龍一の奥さんは1970(昭和45)年に亡くなり、周防は故郷の長崎に帰ります。周囲から不倫を指摘された糸子は、周防に資金を渡して「周防紳士服」という店を持たせ、お金は経理の松田恵(六角精児)に集金させるという商売上の付き合いだけをしていました。
その後の「周防の奥さんが亡くなった」とか「周防が長崎に戻る」という情報は、すべて泉州繊維協同組合の三浦平蔵(近藤正臣)や北村達雄を通して知ったことです。
朝ドラ「カーネーション」では周防が最後どのように亡くなったかは描写されませんが、「第26週 あなたの愛は生きています」で、2011年に糸子は入院した病院で「周防の娘」という川上看護師長と出会います。この時、糸子は92才という設定ですから、周防はすでに亡くなっているのではないでしょうか。
「コシノ洋装店ものがたり」 Tさんの最期
朝ドラ「カーネーション」では周防の死ははっきりと描かれないものの、「コシノ洋装店ものがたり」では小篠綾子の資金で大阪・本町に紳士服店を構えることができた「Tさん」の死ははっきりと述べられています。
彼はスクーターで事故に遭い、病院へ搬送されたところ、そこで胃潰瘍が悪化していることが分かり、と同時に癌が発見され、入院を余儀なくされました。
コシノ洋装店ものがたり 201ページ
この入院の後、1週間も経たないうちに「Tさん」は帰らぬ人となったそうです。