小篠綾子さんとはコシノ三姉妹の母親
2024年9月23日月曜日からNHKBS/BSプレミアム4Kで再放送される、朝ドラ「カーネーション」のヒロイン・小原糸子(青年期:尾野真千子)(老年期:夏木マリ)のモデルは小篠綾子です。小篠綾子とは日本の洋装文化の黎明期に活躍を始め、国際的なファッションデザイナーで有名な「コシノ三姉妹」の母親です。
コシノヒロコ、コシノジュンコ、コシノミチコの母・小篠綾子が、朝ドラ「カーネーション」のモデルであることは、NHKアーカイブス「カーネーション」やNHK朝ドラ100「カーネーション」の記事でも説明されています。
朝ドラ「カーネーション」とは日本のファッションデザイナーの草分けである、小篠綾子をモデルとしたパワフルな女性の一代記であります。
朝ドラ 再放送 カーネーションの放送時間
カーネーションのモデル 「コシノ洋装店ものがたり」
2006年3月に亡くなった小篠綾子さんは、生前の2001年10月に「やんちゃくれ – コシノのお母ちゃんと三姉妹の奮闘記」という自伝書を出版されました。2011年9月には朝ドラ「カーネーション」の放送に合わせて、この「やんちゃくれ」の内容を再編集した「コシノ洋装店ものがたり」が出版されます。
この「コシノ洋装店ものがたり」を読んでいると、朝ドラ「カーネーション」のお話や小原糸子のモデルはまさしく「コシノ洋装店ものがたり」と著者の小篠綾子から来ていることが分かります。
カーネーション 朝ドラ 元ネタ
「コシノ洋装店ものがたり」が元ネタのカーネーションのエピソード
パッチ100枚大量受注事件
例えば「コシノ洋装店ものがたり」の「第二章 父と娘の二人三脚」では小篠綾子が洋裁師として駆け出しのころ、突然パッチを100枚仕立ててほしいという依頼が舞い込みました。
ある日の夕方。私のところに突然「明日の朝までにパッチを縫ってくれないか」というお客さんが訪ねて来ました。聞けば、いつも頼んでいた職人さんが倒れてしまい、期日に間に合わなくなったというのです。私はそのお客さんが困っているということへの同情もありましたが、パッチ縫いであろうと仕事を貰えたというだけで嬉しく、後先も考えず、つい「はい、おおきに」と引き受けてしまいました。相手のお客さんは大喜びです。その時、ちょうど帰ってきた父が私達の間に入り、
「そんなもん、朝までなんて引き受けられまへんで。あかん、絶対にでけへん」
と言い切るのです。お客さんも私も唖然としました。しかし父には無理なことが分かっていたのです。「コシノ洋装店ものがたり」58ページより
このエピソードは朝ドラ「カーネーション」の「第5章 私を見て」(第30回)に登場するエピソードで、糸子の妹・静子が町で困っているおっちゃんを見つけて、100枚のパッチ作りを引き受けた話です。父・善作は強硬に断ろうとしますが、糸子は強引に注文を引き受けようとします。
「お前、なんちゅう仕事、引き受けてんや!!今すぐ断ってこい!!」
「もう引き受けてもうた。しんどいけど…どないかなるかもしらん…パッチやったら…手が覚えてるよって」「NHK連続テレビ小説 カーネーション 上」121ページより
洋服仕立て料未収事件・おばあちゃん以外の家族全員失踪事件
朝ドラ「カーネーション」の序盤は小原糸子と父・小原善作の駆け引きが見どころの1つです。「コシノ洋装店ものがたり」にはパッチ100枚大量受注事件以外にも、「洋服仕立て料未収事件」・「おばあちゃん以外の家族全員失踪事件」など、朝ドラ「カーネーション」で使われたエピソードの元ネタがふんだんに描かれています。
小篠綾子の父・小篠甚作 小原善作のモデル
ここまで読んでいただいた方は朝ドラ「カーネーション」に登場する小原糸子の父・小原善作は小篠綾子の父がモデルになっているのではないかと感じられるかもしれません。
「コシノ洋装店ものがたり」の冒頭で小篠綾子は、自分は小篠甚作・ハナ夫妻のもとに生まれた書かれています。「コシノ洋装店ものがたり」の内容と「カーネーション」のお話を比べると、小篠甚作が小原善作のモデルとなっていると差し支えないでしょう。
小篠甚作が小原善作のモデルであるというお話はそれはそれで非常に面白いので、ぜひ「小原善作 モデル」の記事も併せてご覧ください。